精神疾患の薬物治療は、症状が治まってからも、再発防止のために一定期間は服薬が必要です。また、完治するまでに時間を要する場合も多く、長めの服薬が見込まれます。
適齢期の女性であれば、妊娠・出産と重なることもあるでしょう。すべての薬を停止すべきか、迷うところです。
急激な絶薬は、離脱症状の可能性が高いため、徐々に減らす方法を医師と相談しましょう。
また、断薬を焦るあまり症状がひどくなったり再発することもあります。
今、何を最優先にすべきか、周囲とよく話し合って、人生のプランを練りましょう。症状がひどいときは、判断力が低下しているため、意思決定を急いではいけません。
離婚や退職、妊娠などの重大イベントはひとまず延期したほうがよいでしょう。
胎児への影響があるため、妊娠すると飲める薬は限られます。
軽い症状であれば、妊娠12-14週までに薬をやめることを勧められますが、妊娠を継続しながら精神バランスのために薬を続ける方法もあります。
しかし、一般的に、妊婦には精神関連の薬はあまり出したがりません。現場では、リスクを避けるために、なるべく薬も出したがらない医師が多いです。
大規模病院であれば、妊婦への投与経験がある医師がいるため、個別対応してくれます。東京都ならば、虎ノ門病院が有名です。他にも「妊娠と薬外来」を設けている拠点病院があります。
妊娠と薬情報センター:「妊娠と薬外来」一覧
大切なのは、決して自己判断で薬を飲み続けたり、突然やめたりしないこと。
うつ病やパニック障害をはじめ、強迫性障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの治療に広く使われるパキシルや、睡眠導入剤としても使われるトリプタノールという抗うつ薬は、カテゴリーD「胎児への危険性を示す確かな証拠がある」とされています。
薬の胎児危険度分類のカテゴリーを定めているのはアメリカの「FDA(アメリカ食品医薬品局)」で、日本の厚生労働省にあたる組織です。大体の抗うつ薬は、カテゴリーC「危険性を否定することができない」であり、投与する医師もいます。
このあたりは、症状の強さとのバランスもあり難しいところです。
そして万一、服薬期間に妊娠が判明したとしても、初期のため胎児への影響はほぼありません。中絶などと考えずに、医師と相談してゆっくり薬を減らしましょう。
授乳中の服薬については、別のガイドラインがあり、妊娠時よりはソフトなイメージです。服薬したい場合は、授乳を中止することもありますが、授乳中でも飲める薬の幅は広いようです。
妊娠中は、予期せぬトラブルやマタニティーブルー、産後は慣れない24時間育児からの産後うつなど、ホルモンの大変化を受けてメンタルヘルスの悪化リスクは高まります。
心理療法、漢方薬(西洋薬よりは胎児への影響が小さいが、母乳の味に影響するため嫌がる赤ちゃんもいる)、周囲の助けなどを利用してください。
今は、情報がたくさんあり、妊婦の精神疾患の治療経験がある医師も増えています。妊娠・出産・希望があれば母乳育児をあきらめずにがんばれる環境があります。
まとめ
・決して自己判断で薬を飲み続けたり、突然やめたりしないこと。
・服薬期間に妊娠が判明したとしても、初期には胎児への影響はほぼない。
・妊娠中は、予期せぬトラブルやマタニティーブルー、産後は慣れない24時間育児からの産後うつなど、ホルモンの大変化を受けてメンタルヘルスの悪化リスクは高まります。