企業におけるメンタルヘルス対策を見ておきましょう。
少し古いのですが、財団法人労務行政研究所による2010年実施の調査では、これまで取り組みの遅れていた300人未満の中小企業でもメンタルヘルス対策に着手しはじめるところが増えました。
全体としては大規模企業のほうが積極的です。
内容としては相談窓口設置やパンフレット配布という形式的なものから、教育・ストレスチェックの実施、社内制度やスタッフの拡充など、社内に根付く活動を目指した変化が見られます。
メンタルヘルスケアの方針と計画
事業者(企業)による方針の確認
本気で取り組む姿勢はトップダウンで示されるべきですが、一方的な押し付けだけでは人は動きません。
「なぜ」メンタルヘルス対策が必要で、「どのように」社員を幸せにするのか、を伝える必要があります。
そのため、メンタルヘルスケアの重要性の認識、職場全体を巻き込んでの対策、プライバシーへの配慮、継続的実施、を全従業員に周知させなければなりません。
業績アップのためのメンタルヘルスケアではなく、社員を大切にするためのメンタルヘルスケアを行うと言われれば、社員のモチベーションは上がることでしょう、
また、原因を追究するのも大切ですが、うつ病が増えた⇒仕事量が多いから?⇒休暇を増やせば、業績に悪影響⇒対策はやめよう、となるかもしれません。
しかし、どのような成果を上げたいかという観点で思考すると、うつ病が増えた⇒社員の幸福度を上げるためには?⇒早期に相談できるよう、専門家を雇おう。皆の意識を変えよう⇒結果的に休職者が減り、生産性が取り戻された、となります。
同じ事象(うつ病が増えた)に遭遇しても、これだけ取り組み方が異なるのです。トップの考え方は大切です。
心の健康づくり計画の策定・実施・評価
職場で継続的にメンタルヘルスケア実施されるためには、体制・仕組みがシステムとして構築され、具体的な計画に盛り込まれ、活動し、評価・改善されながら続いていかなければなりません。
2006年に厚生労働省の新メンタルヘルス指針が発表され、「4つのケア」が示されました。これは職場での仕組み構築のヒントになるでしょう。
①セルフケア:社員への教育が必要です
②ラインケア:職場ライン(上司から部下)が中心となり、学び、意識を高めます。
③事業場内産業保健スタッフ等によるケア:産業医、保健師などを確保し、育成します。
④事業外資源によるケア:公的機関や病院との連携、外部のメンタルヘルスに関するプログラムの導入など。
心の健康づくり計画の策定
計画は、実施するシステム(体制)、具体的な活動スケジュール、目標からなります。年間計画に入れて、各スタッフの役割まで落とし込みます。
心の健康づくりの目標と評価・改善
評価指標例としては、以下が考えられます。
・メンタルヘルス関連の疾病による休業者数、休業日数
・自殺者数
・ストレスチェックによる高ストレス者の割合
・職場のコミュニケーションが良好、もしくは、働きやすいとする回答割合
・復職面接の実施数
・復職後、再休職した労働者の数・割合
・教育実施数、教育参加率
この他に職場でのメンタルヘルスケアのヒントになるものを紹介しますので、活用してみてください。
職場改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)
Lesson6-1 まとめ
・本気で取り組む姿勢はトップダウンで示されるべき。
・職場で継続的にメンタルヘルスケア実施されるためには、体制・仕組みがシステムとして構築され、具体的な計画に盛り込まれ、活動し、評価・改善されながら続いていかなければなりません。
・4つのケア。セルフケア、ラインケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業外資源によるケアが重要。