Lesson7-6 セルフケア:レジリエンス

レジリエンス(Resilience)とは、メンタルヘルスにおいては精神的なしなやかさ・回復力・耐久力として注目されている言葉です。
「打たれ強く生きる」「折れない心」を支える柔軟性ともいえます。

レジリエンスを高めれば精神的なストレスを受けた時も、心にダメージを受けにくくなります。
へこんだり、落ち込んだとしても、すぐに立ち直る方法を身につけていればよいという考え方です。

以前は、レジリエンスは生まれつき・先天的なもので変えられないと考えられていました。
しかし最近では、適切なトレーニングをすれば誰でも高められると分かっています。また、自尊心を高める方法として、教育現場でもとりいれられています。

 レジリエンスを高める5つのポイント

①自己肯定感・自尊心

レジリエンスを高めるための基盤は、自分に対する適切な評価です。
自分の価値を認めてあげていないと、ストレスを受けた時に「どうせ自分は」と否定的にとらえ、ネガティブ思考から抜け出せません。

自己肯定感や自尊心は、幼少時の経験や声かけの影響が大きいといわれています。
「あなたはダメな子」という態度で親が接すると、子供は「自分はだめだ」と思い込みます。反対に、「自分をあるがままに受け入れて大切にしなさい」「そのままで素晴らしい」と言われて肯定的に育てられた人は、自尊心が高くなります。

では、大人になってからはどうしたらいいのでしょうか。
ポイントは、自分をほめる機会を増やすこと。そして、健康的で適度な自尊心を持つことです。以下がその方法です。

・長所を活かす

好きなこと、得意なことなら、続けられます。続けるうちに、周囲に認められ、自信がつきます。

・人に親切にする

「ありがとう」という言葉を受け取るためでもよいのです。「私っていいヤツ。すごい、えらい!」と思う経験を積み重ねましょう。

・ほめ言葉を受け取る

日本人は、ほめられても謙遜する傾向があります。
社交上必要な場合もありますが、もっと素直に「ありがとう」とほめ言葉を受け取りましょう。自分で自分をほめる方法(例:ほめ日記など)も有効です。

・成功体験を積む

・これまで生きてきた自分を振り返る

忘れていることが多いのですが、あなたが成し遂げたことは案外たくさんあります。そして、両親や周囲が応援してくれたことを思い出せば、温かい気持ちがうまれます。

・自尊心が高まる環境に身を置く

得意なことをする、転職する、趣味をがんばるなどが考えられます。

②適応力

強固にストレスを跳ね返すよりは、少しへこんでもうまく受け流す、一晩寝れば忘れる・回復する、くらいのほうが心の健康を保てます。

柔軟性が低い性格は「完璧主義」「こだわりが強い」ため、自分を追い込んでしまいやすく、精神的にストレスを受けやすい性格です。
うつ病の病前性格として提唱されているメランコリー親和型性格も、「真面目で責任感が強く、完璧主義」です。

人生においては、理不尽なことや自分の想定通りにはいかないことがたくさん起きます。
その際、「ある程度は仕方ない」とあきらめたり、受け入れたりという適応力を持ちましょう。
やり抜く力や努力は必要ですが、一生懸命がんばってもうまくいかないときは、あきらめたり一休みすればいいのです。

「まぁいいか」「人生曇りの日もある」「明日は明日の風が吹く」と、適度な楽観性はあなたを助けてくれます。

③安定した人間関係

信頼できる人間関係があれば、それだけで安心感がうまれます。

中でも家族との良好な関係はとても重要です。両親から十分な愛情を受けられないと、自尊心が十分に育ちません。近年、アダルトチルドレン(AC)として問題になっています。
また、何か悩みが生じた時に身近にいて相談しやすいのが家族であるため、良好な家族関係がないと、ストレスを自分の中に溜めこむようになってしまいます。

友人との関係も大切です。
友達の数ではなく、深い事まで話せて信頼が出来る「親友」がいることが重要です。
家族には相談しづらい事なども相談に乗ってもらったり、一緒に遊びに行ってストレスを発散させたりと、友人はあなたを助けてくれます。同様に仕事においても、すぐに悩みを相談できる相手がいることは重要です。

④社会とのかかわり

社会とのかかわりを持ち、その中で役割を持つことは、レジリエンスを高めるために大切なことです。
孤独の回避にもつながりますし、「社会に貢献している」「やりがい」「達成感」という気持ちを持てるので、自尊心を高めることにもつながります。実際、職業の有無とレジリエンスの高さは関連性があるという報告もあります。
職業でなくても、趣味・市民活動や地域コミュニティでの役割でも同じことがいえます。

⑤生活習慣

日々の安定した生活習慣もレジリエンスを高めるためには大切です。
安定した食事・運動の習慣はレジリエンスを高めることが報告されています。また、適度な飲酒もレジリエンスを高めることが報告されています。
成績と、規則正しい食事や睡眠の習慣の関係が指摘されていますが、レジリエンスでも同じです。

まとめ

・レジリエンスとは、精神的なしなやかさ・回復力・耐久力。

・適切なトレーニングをすれば誰でも高められる

・自尊心や適応力を高め、安定した人間関係を持ち、社会とつながる。また、生活習慣を守ることでも高められる。