今回からは、少し専門用語を使います。難しいかもしれませんが、医学的な理解はストレスの正体を知るために欠かせないので徐々に慣れていきましょう。
医学的な「ストレス」とは
もともと「ストレス(stress)」とは、物理学用語において「ひずみ」を意味し、そこから転じて生理学的な心身の「歪み」が生じた状態を表すようになりました。
ストレス学説の生みの親であるカナダの生理学者ハンス・セリエは1936年に論文を発表し、そのなかでストレスという言葉を初めて公式に用いました。
セリエによると、
ストレス要因……個人にとって負担となるような出来事や環境。ストレッサーともいう。
ストレス反応……ストレス要因やストレッサーにより引き起こされた不安や怒り、不満、抑うつ気分などの精神症状と疲労感、食欲不振、不眠などの身体症状、また引き起こされた喫煙や飲酒量の増加などの変化
この両者を合わせたものをストレスと呼びます。
例えば、けんかをして悲しくなるという場合、「けんか」がストレッサーで、「悲しくなる」はストレス反応です。
ストレッサーの分類
- 物理的・化学的・肉体的……
労働環境、労働時間、ディスプレイやキーボードを使用した作業、病気、栄養の偏り、喫煙、飲酒、睡眠不足、温度、騒音、人ごみ、薬物、毒、甘さ、辛さ、重さ、運動、大気汚染、照明、湿度、ハウスダスト、感染症、匂い、日光や天気
- 心理的なもの……
怒り、悲しみ、不安、恐れ、喜び、焦り
- 社会的・人間関係的なもの……
人間関係トラブル、評価、時間、解雇、降格、昇格、転職、退職、ノルマ、目標、恋愛、結婚、離婚、妊娠・出産、死別、旅行
- 変化……
寒いから暑い、安心から不安、安定から解雇 など
注目していただきたいのは、「変化」もストレスになること。そして、一見ストレスとは思えない「甘さ」「喜び」「恋愛」などもストレスになるということです。
良いストレスかもしれませんが、過剰だとネガティブな効果にもなりかねません。このように列挙してみると、日常生活で見落としていたストレッサーも多く、知らぬ間にストレスを溜めていたことに気づきませんか?
大切なのは、「なにか調子が悪い、いつもの自分と違う」と感じた時に、「これはストレッサーによる、ストレス反応かも」とたちどまって考えてみることです。
ストレッサー(ストレス要因)とストレス反応を分けることにより、ストレッサーを無くす、減らすことが可能になります。そうはいっても、状況を変えられない場合は、「これは、ストレッサーのせいなんだ」と意識し、原因が分かるだけで、少し心が軽くなります。
Lesson1-2まとめ
- ストレス要因(ストレッサー)とストレス反応を併せて、ストレスと呼ぶ
- 変化や嬉しいこともストレスになる
- 日常生活の中で「これはストレス要因のせいで、今こんな気持ちなんだ」と意識することが大切