Lesson3-11 その他の精神性障害

今までのたくさんの疾患を詳しくみてきました。
もし自分が当事者になったら、あるいは親しい人や同僚が病で苦しんでいたら、という場面を想定して読んでいただければと思います。

重苦しい話でしんどいな、と感じる方もおられるでしょうが、あと少しお付き合いください。今回は、これまでの疾患以外に、メディアなどで取り上げられる病態に触れます。

身体表現性障害

心理的な問題が背景にあり、様々な身体症状があらわれるものです。

身体各所の痛み、生理不順、めまい、のどのつまりなど、あらゆる症状に及びます。重大な病にかかっているという思考にとらわれている場合は「心気症」と呼びます。

気持ちの問題、詐病と疑われることで、本人はさらに傷ついたり、原因がわかるまで医療機関を転々とすることもあり、生活に支障をきたします。
抗うつ薬を中心とした薬物治療と認知療法が行われます。

パーソナリティ障害(性格の偏り)

人格上の偏りが本人にとって苦痛、または社会生活を送る上で問題を生じさせるものです。

青年期から開始することが多いといわれています。一般的に、幼少時の経験や生来的な気質があわさって起きます。
最近は典型的な人格障害というより、社会的・人間的に未熟で、ストレス耐性が低く、他者とのトラブルが多く、容易に(環境に)不適応となるケースが増えています。

問題は、自分を顧みることが少なく、「社会が悪い」「上司が悪い」と周りのせいにして、状況が改善しづらいことです。治療はカウンセリングが中心、必要に応じて薬物治療をとりいれます。

適応障害

適応」とは、環境や周囲の人々からの要請と自らの内的要求に応えるため、主体的態度で、著しい不都合なく生活できる状態をいいます。
似て異なる「順応」は、ただ与えられた状況に受け身に適応することです。

環境が過酷であれば多くの人が「不適応」になります。個人の特質やストレス耐性によっても異なります。

睡眠障害

睡眠学の第一人者によると、睡眠不足の作業効率の低下により生じる経済的損失は日本全国で約3兆円、欠勤、遅刻、早退、交通事故を併せると約3兆5000億円に達するそうです。

夜布団に入っても30~1時間眠れず苦痛が生じる入眠障害、何度も目が覚める中途覚醒、通常の起床時間の2時間前に目が覚めて眠れなくなる早朝覚醒、深く眠った感覚が得られない熟眠障害があります。

不眠は、多くの精神疾患に伴い起きることが多いため、継続するようであれば自己判断せず、医師に相談したほうがよいでしょう。喘息やアトピー性皮膚炎、ステロイド製剤やカフェインによるものもあります。

他には、日中の耐え難い眠気が特徴の過眠症、個人の睡眠覚醒リズムと社会生活時間帯とのズレによる概日リズム睡眠障害、無呼吸状態があらわれる睡眠関連呼吸障害などがあります。

発達障害

職場で事例化しやすいものとして、不注意・多動性・衝動性などに問題を抱える注意欠陥多動性障害(ADHD)、知的機能は保たれているものの想像力、非言語のコミュニケーション能力に偏りがあり対人関係が不得意なアスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害・ASD)などがあります。

幼児期には判断がつかず、大人になってから発達障害が疑われるケースが増加しており、このような比較的軽症なグレーゾーンの発達障害への対応は慎重を要します。

その他依存症

物質関連依存については触れましたが、ギャンブル、借金、買い物、仕事など行動に関する「行動嗜癖(しへき)」、短期間の刹那的な恋愛や暴力的な人間関係などへの「人間関係への嗜癖」も存在します。

問題の背景には、家族の力や果たすべき役割が弱まっていることがあり、本人や周囲が「問題がある、治療すべき」ということを認めたがらないことがあります。過去を見直し、今後の生き方を考え直し、人間関係を再構築するという作業が必要なのです。

心身症

日本心身医学会によると、「身体疾患のなかで、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態」をいいます。
ただし、「神経症やうつ病など、他の精神障害にともなう身体症状は除外する」という定義されています。

例としては、再発を繰り返す消化性潰瘍や気管支喘息、過敏性腸症候群、コントロールの悪い糖尿病や高血圧症、頭痛による遅刻や欠勤、腰痛、摂食障害などが挙げられます。

ストレスをまったく自覚しない人でも、心の中の緊張に気づかず、突然発症することがあります。カウンセリングと薬物療法に加え、各身体疾患に応じた治療が行われます。本人が、心と身体疾患の因果関係に気づき、ストレスの元にアプロ―チすることが大切です。

まとめ

・パーソナリティ障害とは、社会的・人間的に未熟で、ストレス耐性が低く、他者とのトラブルが多く、容易に(環境に)不適応な状態。

・発達障害や睡眠障害が増加傾向。