疫学研究によれば、生涯で物質関連障害に罹患する日本の成人は8.5%とされているものの、もっと多い可能性があります。
男性の罹患率は、女性の4倍に上ります。アルコール関連は、薬物の10倍です。
物質関連障害は、不安障害やうつ病を併発する可能性が高いです。
この病気は、アルコール、覚せい剤、大麻、睡眠薬、鎮痛剤など精神に作用をおよぼす物質の使用に関連した障害を指すことが多く、ただ使用しただけでは病気の状態とはいいません。以下の状態が物質関連障害です。
・その物質への依存
・仕事や学校、家庭などに問題を引き起こしたり、法的問題につながる使用
・健康に障害が出るような使用。内臓障害・神経障害と精神的障害の両方がありえます。
問題となる「物質への依存」とは・・・
・耐性:
使用を繰り返すことで効果が出にくくなり、知らないうちに使用量が増加。
・離脱症状:
使用を急にやめたときに精神・身体症状が起きる。発汗、不眠、不安、幻覚など。これらの症状を抑えるために、また物質を使用していまうことも問題。
・コントロール障害:
意図したよりも、多くの量を使用したり、長期間使用したりすること、使用量の減少や調節が困難になるという問題が起きる。
例えば、
・使用のために、社会的、職業的活動や趣味が制限される
・使用で問題が生じていてもやめられない
・物質入手や、効果からの回復に時間を費やしすぎる
主な物質関連障害
アルコール
個人差の大きい物質ではありますが、毎日アルコールを摂取すると依存状態になりやすいという研究結果があります。禁酒日をもうけることが大切です。
飲酒量の少ない人も、長期間飲み続けることで耐性が生じます。
依存の初期段階は、2~3杯飲んだ時点で、自分の意志で飲酒をやめられるかが目安です。
依存症にならないためには、1日の摂取量は男性は4単位(アルコール10gで1単位)、女性は2単位以内が推奨されます。例えば、ウィスキー30ml(シングル)やワイン100ml、ビール285mlが1単位とされています。
タバコ
喫煙者が多いため、依存症という観点ではとらえられにくいのですが、喫煙者の不安障害やうつ病は通常の2倍、精神病症状を持つ人は4倍以上です。
有機溶剤
揮発性の、非水溶性物質をよく溶かす化合物であり、塗料用のラッカー、シンナー、ボンドなどが身近です。
入手しやすさから、以前は若者の間で乱用されていましたが、最近は使用者が減少しています。中枢神経を抑制するため、酒に酔ったような状態になり幸福感を感じることもありますが、大量吸引により死亡することもあります。
長期使用により、幻覚や幻聴が起きたり、イライラ・落ち着きのなさ、無気力などがみられます。末梢神経炎による手足のしびれ、肝機能障害、脳の萎縮も引き起こします。有機溶剤は、他の薬物への入り口となりやすく警戒が必要です。
有機溶剤の障害経験率は、2007年2.0%でした。
大麻(マリファナ)
欧米では広く使用されている違法薬物の一種です。大麻を使用する青少年はうつ病になりやすく、過剰な飲酒や、他の薬物使用をしたり、反社会的行動をしがちです。
大麻は、他の精神的障害と明確に関連しています。大麻を使用すればするほど、統合失調症になりやすいという報告もあります。
この他、覚せい剤、ヘロイン、MDMA(エクスタシー)などの脱法(違法)ドラッグがあります。
Lesson3-9 まとめ
・物質関連障害は、不安障害やうつ病を併発する可能性が高い。
・その物質への依存、・仕事や学校・家庭などに問題を引き起こしたり、法的問題につながる使用、健康に障害が出るような使用などが物質関連障害に相当。
・問題となるレベルの物質への依存は、耐性、離脱症状、コントロール障害の観点でチェック。