Lesson3-7 精神病性障害の種類と原因

精神病とは、現実に対する認識にゆがみが生じた状態です。

思考、情緒、行動に深刻な障害を引き起こし、生活を困難にします若年での発症が多いことから、思春期の心の揺れだと放置され治療に入りづらいことも多く、完全に回復しなかったり、うつや自殺の危険性が高まることもあります。

勉学や雇用を中断せざるを得ない場合は、人生全般にわたり影響を受けます。法律に抵触する機会や、依存症になる確率も高まります。

以下に代表的な病気を挙げます。

統合失調症

思考・認知が障害を受けて精神機能が変化する病です。かつては精神分裂病と呼ばれていました。

人口の約1%が人生のある段階で罹患、そのうち75%が16~25歳で発病します。
男性の方が若くして発病する傾向があります。
数週間で急激に発病したり、数カ月とゆっくりな場合もあります。

1/3が初回の急性期で完全に治癒、1/3が複数回の発症を経験するものの間の精神状態は良好です。残り1/3は生涯全般にわたり病気を抱えます。

主な症状は、妄想、幻覚、思考障害(集中、計画、記憶が困難)、意欲低下、感情鈍麻(場にそぐわない感情を抱いたり、感情を欠いたりする)、ひきこもりなどです。

双極性障害(躁うつ病)

うつ病のレッスンで説明したので省略します。罹患率は、0.1~1.0%程度、男女で差はありません。

精神病性うつ病

うつ病が重症になると、精神病症状が起きる場合があります。例えば、深刻な身体の病気にかかり自分はもうすぐ死ぬ、など妄想を伴う場合などです。

薬物誘発性精神病

大麻(マリファナ)、コカイン、脱法ドラッグ、覚せい剤などの薬剤により、急速に出現し、薬物の効果が減少するまでに数時間から数日間続きます。
幻視、時間や方向感覚の喪失、記憶障害などを経験します。

精神病になる原因

遺伝、生化学、ストレスその他の要因の組み合わせにより起こります。

例えば統合失調症を例にとると、遺伝病ではないものの統合失調症の親をもつ人は罹患しやすい傾向にあります。
片方の親が罹患していると、子の罹患率は10%に上がります。

生化学的要因とは、生理的反応や脳の変化によりある物質が大量に産生されることを指します。統合失調症ではドーパミンという物質が関与しているようです。

統合失調症の多くは、人生において大きなストレスの後に発症します。ストレス自体は要因ではありませんが、発症のひきがねになります。その他、頭部外傷、出生時の合併症など様々な例が観察されています。

Lesson3-7 まとめ

・精神病とは、現実に対する認識にゆがみが生じた状態です。思考、情緒、行動に深刻な障害を引き起こし、生活を困難にする。

・統合失調症の主な症状は、妄想、幻覚、思考障害(集中、計画、記憶が困難)、意欲低下、感情鈍麻(場にそぐわない感情を抱いたり、感情を欠いたりする)、ひきこもりなど。

・精神病は、遺伝、生化学、ストレスその他の要因の組み合わせにより起こる。