Lesson3-5 不安障害の種類、原因、治療

人は誰でも不安を経験しますが、重い状態で、長期間続き、仕事や人間関係の妨げになっている場合は、不安障害として治療も選択肢になりえます。

日本人成人の9.2%が一生のうちに一度は不安障害になりますが、専門家の治療を受けている人はその3分の1程度です。
不安障害は、多様なタイプに分かれており、そのいくつかを紹介します。

全般性不安障害

根拠のない、耐え難い不安や心配が、緊張や不安による身体症状を伴います。6カ月間で、不安の起きる日が、起きない日を上回り、問題の無い日も、経済面・家族・仕事・健康について過剰に心配します。
この不安をコントロールするのが難しいと感じ、動悸、頭痛、胃痛、震え、緊張、不眠、びくびく、そわそわ、ぴりぴりとした状態になります。

結果、仕事に集中できず、元気に物事をこなすことが難しくなります。

パニック障害

強い不安、恐れ、脅威の発作が突如始まり、急激にピークに達します

めまい、震え、発汗、過呼吸などと心臓発作に似た身体症状が現れます。
自分に破滅や死が迫っているように感じ、コントロールできな苦しさに怯えます。

パニック発作経験者は、再発を恐れ、パニックが生じそうな場所(電車、人ごみ、広場など)を避けて、日常生活に支障をきたす場合もあります。(この状態を恐怖症と呼びます)

急性ストレス障害と心的外傷後ストレス障害(PTSD)

強い苦痛やショックな出来事に接した後、または目撃した後、その出来事の夢を繰り返し見たり、フラッシュバック、意思に関係なく思い出す、思い出しによる動揺として症状が現れます。

急性ストレス反応は、出来事から1か月以内に回復しますが、心的外傷後ストレス障害の苦痛は長く続きます。

同じ出来事を経験しても、このような症状に移行するのはごく一部です。しかし、例えば戦争や災害などの本人にとって耐えがたいもの。
ベトナム戦争では、大きなストレスにさらされた退役軍人のうち、心的外傷後ストレス障害に発展したのは20%だという報告があります。

強迫性障害

ある考えやイメージに繰り返し襲われ、激しい不安を感じます。その不安を減少させるために、手洗い、確認、数えるなどの特定の行為に駆り立てられるように行います。
発症頻度は少ないものの、日常生活を不自由にさせます。

思春期に始まり、強弱を繰り返しながら進行する長期の病です。

不安障害の原因

不安を感じやすいのは以下の人達です。

・女性
・心配性の両親を持つ人
・とても敏感で情緒的な性格、世界を危険なものとしてとらえるタイプ

・幼少時に虐待された経験のある人

また、以下によっても生じます

・特定の医学的状態(甲状腺機能亢進症、ビタミンB12欠乏症、不整脈や心臓疾患)によるもの
・処方薬の副作用
・処方薬以外の副作用(カフェイン、ドラッグ)によるもの

不安障害の治療

薬物療法では、抗うつ薬、特に選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が第一に選択されます。
また、抗不安薬(例:ベンゾジアゼピン系抗不安薬)は根本的な治療にはなりませんが症状を和らげます。

しかし、ベンゾジアセピン系抗不安薬の中には、慎重に使用しないと依存性を生じさせるものがあります。突然服薬をやめると、恐怖、パニック症状、不眠などが起きることがあり、注意が必要です。

近年、海外に比べて、日本ではベンゾジアセピン系の薬の大量処方が指摘されており、問題になっています。不眠、腰痛、肩こり、不安、と適応症状が広いためです。
例えば、整形外科と心療内科にかかるときなどには、お薬手帳で投薬内容を確認してもらいましょう。

多重投薬はふらつきなどを起こし、危険ですし、依存性も生じやすくなります。薬をやめるときに、離脱症状が起き、苦しい思いをしてしまいます。

不安障害の方は、頭の回転数は落ちていないので、休職せずに治療することが多いです。

認知療法も有効です。

自分でできることとしては、リラクゼーション(呼吸法や筋肉)、カフェインを1日300mg以下にする、週に30分以上の運動を3回は行う、などがあります。

Lesson3-5 まとめ

・不安による症状重い状態で、長期間続き、仕事や人間関係の妨げになっているのが不安障害。

・全般性不安障害、パニック障害、PTSD、強迫性障害などがある。

・休職せずに治療することが多い。