Lesson3-2 うつ病の特徴

メンタルヘルスの不調として最もよくみられる症状、うつ病について考えてみましょう。一生の間にかかる確率は10-20%、女性は男性の2倍と言われています。

うつ病とは

「無気力」「身体がだるく、疲れがとれない」「食欲がない」「眠れない」という気分の落ち込みが2週間以上続き、何かをしようとしてもできず、人間関係や社会活動に支障をきたす状態が「うつ病」です。

脳内の神経伝達物質のバランス(セロトニンやノルアドレナリン)が変化し、神経細胞間の伝達がうまくいかなくなり、気分の調整がしづらくなるのが原因です。

中には、うつと躁状態(自信過剰でエネルギーにあふれる)が交互に繰り返す「双極性障害」がみられ、治療法も異なります。
ほとんどが鬱状態で、躁状態がごく短いものを「双極性障害Ⅱ型」と分類します。
近年、このタイプが増えており、診断しにくく(普通のうつ病と見分けがつきにくく)、長引いたり再発しやすいと指摘されています。

双極性障害については、改めて説明します。

主な症状は

身体症状

頭痛、肩こり、めまい、たちくらみ、動悸、微熱、疲労、胃痛、下痢・便秘、腰痛、吐き気などの症状が現れます。内科で検査をしても原因がわからないことが多く、治療までに時間を要することがあります。

不眠

「朝早く目覚める(早朝覚醒)」タイプが典型的です。寝つきの悪さ(入眠障害)、途中で目覚める(中途覚醒)、眠った気がしない(熟眠障害)、過眠(眠っても眠気がとれない)もみられます。

気分の変動

朝は調子が悪いのですが、午後になると元気になってくる「日内変動」と呼ばれる特徴です。

よくあるのは、うつ病で休んでいる人が、夜は調子がよくなるので「明日は出社します」と会社に連絡し、翌朝はやはり欠勤、というパターンです。起きて電話することすらつらく感じます。

罪悪感、自責の念

必要以上に、自分をダメだと思い込みます。
「自分は役立たずだ。会社のお荷物だ」とか、「私がいないほうが家族が楽しそう」「自分の存在が、周りには迷惑だ」などの発言がきかれます。

抑うつ状態により、実際よりも悪く自分を評価してしまい、責任感とのはざまで悩みます。「自分がいなくなればいいのに」「死んでお詫びしたい」と思いつめると、自殺の危険があり要注意です。

自殺願望

うつ病による自殺が多いことは先に述べました。病気や失敗、離別にあっても、本来、人間は少しずつ痛みを忘れ、生活を続ける生き物です。

「死にたい」と真剣に考え、実行に移すのは少数であり、そこには精神的な病が隠れていることが多いといえます。

悲観的な認識

自分、過去、将来すべてを否定的にとらえます。
孤立無援だと思い込み、生きていくパワーも望みもないと悲観します。

このような認識は、うつ病が回復すれば変わります。退職や離婚といった大きな決断は先送りにしましょう。回復すれば現実をみつめ、解決方法を見出し、もう一度がんばろうという気持ちになるからです。

食欲低下・体重減少

何を食べても砂をかんでいるよう、と表現する人がいますが、おいしさを感じず、ひどい場合は吐き気を覚える場合も。
体重減少が短期間で著しい場合は、体力がついていきませんので、休業や入院も視野にいれます。

楽しめない

何をしても興味がもてない、つまらない、と感じます。普段は多彩な趣味を楽しんいた人が、ひきこもってしまいます。

意欲の低下

やる気が出ない、というレベルから、何もできず起き上がることも億劫で、1週間風呂に入れないという状態まで様々です。

注意力、集中力の低下

寝不足が続いてパフォーマンスが落ちるように、うつ病でも注意力・集中力が下がり、ミスや事故のリスクが高まります。

以前はできていた作業に時間がかかったり、やり直すことで余計に仕事が増え、労働時間が長引き、疲れがたまります。このような悪循環が続くようなら、休業を検討したほうがよいでしょう。

Lesson3-2 まとめ

・うつ病とは、「無気力」「身体がだるく、疲れがとれない」「食欲がない」「眠れない」という気分の落ち込みが2週間以上続き、何かをしようとしてもできず、人間関係や社会活動に支障をきたす状態。

・医学的には、脳内の神経伝達物質のバランス(セロトニンやノルアドレナリン)が変化し、神経細胞間の伝達がうまくいかなくなり、気分の調整がしづらくなる状態。

・身体症状、不眠、気分や食欲の変動、意欲や集中力の低下、ネガティブ思考の継続などがみられる。